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データ分析法・第2回「t検定の復習」

データ分析法学習

授業情報

項目内容
科目データ分析法
回数第2回
テーマt検定の復習(対応のないt検定・ウェルチ検定・対応のあるt検定)
日付(未記入)

1. t検定とは

t検定(t test):2つの平均値間の差の検定。

例題①:t検定(対応なし)

抵不安薬として開発中の新薬の効果を確認するため、ラット20匹を新薬群(EXP)と偽薬統制群(PC)の2群に10匹ずつ無作為に割り当て、受動的回避の実験を実施した(反応潜時の単位: s)。

  • 新薬群平均:53.2(n=10)
  • 偽薬群平均:57.8(n=10)

2. 有意差検定の考え方(t検定を例に)

  1. **対立仅説(=実験仅説)**を立てる。例:新薬に効果がある(=2群の平均値に差がある)。実験の効果(独立変数の効果)があると言いたい
  2. 帰無仅説を立てる。例:新薬の効果はない(=2群の平均値に差はない)。実験の効果はないという前提を立てる(平均値の差は偿然によると考える)
  3. 帰無仅説が正しい場合、2つの平均値の差は偿然(誤差)によるものと言える。そこで得られた平均値の差が偽然に起こりえる確率を計算する(=有意差検定)
  4. この確率が5%以下の場合、偽然ではないと判断して帰無仅説を棄却し、対立仅説を採択する
  5. 有意確率が5%以上の場合、偽然にも起こりうるとし、帰無仅説に関しては保留する(帰無仅説を採択するわけではない点に注意)

3. 用語確認

用語説明
対立仅説(alternative hypothesis)帰無仅説と逆の仅説。研究者が主張したいと考えている仅説(研究仅説・実験仅説と同義)
帰無仅説(null hypothesis)研究者が主張したい仅説とは逆の仅説
有意差検定(statistical significant test)得られた結果が偽然に起こるとすればどの程度の確率で起こり得るかを計算する方法の総称。t検定や分散分析が代表的。有意確率の基準は多くの分野で5%(および1%)が慣例

4. t検定の実施①—対応のないt検定—

4-1. Rによるt検定(等分散を仮定)

x <- read.csv("ttest1.csv")          # データの読み込み(列名: EXP, PC)
t.test(x$EXP, x$PC, var.equal=T)     # 等分散を仮定したt検定
  • t.test()( ) 内で、比較する2つのデータ(変数$ラベル1, 変数$ラベル2)を指定
  • var.equal=T で等分散性の仮定を指定
  • 結果:t値1.385、自由度18、両側確率0.183 → 両側検定5%水準で有意差なし

4-2. ウェルチ検定(Welch test)

  • 等分散が仮定できない場合や、標本の大きさが大きく異なる場合、通常のt検定は適用できない → ウェルチ検定(対応のないt検定の修正版)を使う
  • 2標本の大きさが等しい時はt検定と同じt値になるが、ウェルチ検定は自由度を小さめに見積もるため有意差は得られにくい
  • 現在では「等分散か否かを事前に検定せず、いきなりウェルチ検定を実施する」ことが推奨される(F検定で事前判定する古い手法は、有意差検定の繰り返しの問題から非推奨)
t.test(x$EXP, x$PC)   # var.equal=T を付けなければデフォルトでウェルチ検定
  • 結果:t値1.385、自由度17.534、両側確率0.184(自由度が通常のt検定と異なる点に注意)

4-3. 補足:片側検定・欠損値・指数表示回避

t.test(x$EXP, x$PC, alternative="less")   # A<Bを検定(A>Bなら"greater")
t.test(x$EXP, x$PC, na.rm=TRUE)           # 欠損値を除外(全関数で使えるわけではない)
options(scipen=15)                        # 指数表示を回避(値を大きくするほど回避しやすい)

練習問題①:野球・サッカー日本代表のBMI比較(ttest2.csv)

2016年代表メンバーのBMIに差があるかを検定。標本の大きさに差があるのでウェルチ検定を実施。

x <- read.csv("ttest2.csv")   # 列名: foot, base
t.test(x$foot, x$base)

解答:t値6.423、自由度32.443、有意確率0.000(p<.001)→ 有意差あり


5. t検定の実施②—対応のあるt検定—

例題②:ストループ課題の実験(ttest3.csv)

12名の大学生に、色パッチ条件(P)と文字条件(W)の両方をランダムな順で体験させ、100個の刺激を読み上げるのに要した時間(秒)を比較。

y <- read.csv("ttest3.csv")     # 列名: P, W
t.test(y$P, y$W, paired=T)      # 対応ありの指定(paired=T)

解答:t値3.902、自由度11、両側確率0.002 → 5%水準で有意差あり

練習問題②:果物の品種間の糖度比較(ttest4.csv、仮想データ)

品種A(平均14.67)とB(平均15.15)の糖度に差があるか。

解答:ウェルチ検定の結果、t(17.032) = 1.121, p = 0.278 → 有意差なし

練習問題③:1990年代・2000年代の年平均気温の比較(ttest5.csv、仮想データ)

10ヶ所の同一地点のデータを対応させられるため、対応のあるt検定を実施。

解答:t(9) = 3.417, p = 0.008 → 有意差あり


6. 復習用例題集(解答付き)

問題内容(データ)検定方法t値自由度有意確率
係留効果(アンカーリング)実験の追試(tr1.csv)等分散仮定 t検定6.653290.000 (p<.001)
①と同じデータウェルチ検定6.72427.2170.000 (p<.001)
触覚2点弁別閾実験(手の平 vs 前腕部、tr2.csv)等分散仮定 t検定6.473250.000 (p<.001)
③と同じデータウェルチ検定6.33618.0360.000 (p<.001)
プロ野球選手の左右打席別打率(tr3.csv)対応あり t検定(同一年で対応)2.331110.047
触覚2点弁別閾、同一人が両条件を経験(tr4.csv)対応あり t検定9.06790.000 (p<.001)

まとめ

  • t検定:2つの平均値間の差の有意差を検定する手法。関数は t.test()
  • 対応のないt検定t.test(x$A, x$B, var.equal=T)
  • ウェルチ検定t.test(x$A, x$B)(Rのデフォルト)。等分散か否かを事前検定せず、こちらを優先するのが現在の推奨
  • 対応のあるt検定t.test(x$A, x$B, paired=T)(同一対象を繰り返し測定した場合)
  • 判定基準:有意確率(p値)が5%未満なら帰無仅説を棄却して有意差ありと判断。5%以上なら帰無仅説は保留(採択ではない)
  • 片側検定は alternative="less" / "greater"、欠損値除外は na.rm=TRUE、指数表示回避は options(scipen=15)